海外のスマートシティ化はどこまで進んでいるのか?〜ベトナム&シンガポール編〜

エコモット技術ブログアドベントカレンダー21日目を担当いたします、広報・プロモーショングループの薄木です。
私は文章を書くときにiTunesでランダムに曲を流しているのですが、ちょうど今、松たか子の「明日、春が来たら」が流れてます。春に春の歌を聞くよりも、冬に待ち遠しい春の歌を聞く方が心が弾んでテンションが上がります。
、、、さて、今回は、先月札幌のIT企業の方々と行ってきたベトナム&シンガポール視察についての記事を書かせていただきます。

ベトナム ホーチミンの情勢とIoTについて

ベトナムは2016年9,270万人の人口が2022年には1億人に到達すると予想されており、勤勉で真面目な国民性から就学率が近隣国と比べ高く、世界各国からのオフショア開発が盛んな国です。
人口の急増に比例して車両が急激に増えていることに着目し、当社のカーテレマティクスサービス「Pdrive」を先行して普及できないか調査してきました。

ホーチミンの街並み
(2017年11月時点のホーチミンの街並み)

ホーチミンについてからは、南国の雰囲気にモチベーションが上がるかなと思いましたが、英語とベトナム語がわからない私は、空港で、ホテルで、コンビニでと、何度も現地の人から舌打ちをされ、本当にホテルで泣きそうになりました、、、
これに関しては恨みよりも、英語も話せなくてすいませんという気持ちの方が強く、初日から猛省しました。

ホーチミンの交通インフラ事情

現地の方の話だと、近隣国と比べ乗用車の普及率は半分以下で最も低いらしく、道路を見ても未だにバイクが主流で信号もないのが現状でした。
そのため、カーテレマティクスサービスはおろかドライブレコーダーすら普及していないので、かろうじて国外の観光バス等に提案できるか程度の市場となっております。
ただ、近隣国の実例から見ても交通インフラが整えば爆発的に普及される市場ではあるので、いまいま提案しても車がそんなに走っていないので「この日本人何言ってんだろう」と思われますが、いつでも販売できるように現地にパートナーを作っておくのは面白いかもしれません。

国名 1,000人あたりの所有台数
日本 591人
マレーシア 393人
タイ 165人
フィリピン 30人
カンボジア 21人
ベトナム 13人

自国の発展を夢見る逆輸入ITエンジニア

最近は国内の発展により人件費が上がったため、他国からのオフショア開発はそこまで伸びておらず国内の仕事が増えてきているようです。
その中でも初日に訪問した「Num Long Technology」という企業が面白く、学生を使ってビニールハウスの温度や河川の水質などを計測し、LoRaを使用してクラウドサーバーにアップするという、エコモットとほぼ同じことをしているIoT企業がありました。

ホーチミン企業のIoT概要図
(ホーチミン企業のIoT概要図)

ちなみに、代表の方は札幌の大学に留学していたことから、とても親日家でなかなか仕事の話をしてくれませんでしたが、当社のIoTカタログを渡すとすぐにエコモットのソリューションを理解していただき、センサーはいくらするのかを事細かに質問されました。
現状はアプリケーション開発の実績とLPWAの普及により、スマートシティを実現したいという思いが国内で高まっているものの、他国のセンサーや機器は高く、とても手を出せる代物では無いため、そこが一番のネックになっているようです。
日本のIoT案件でもセンサーの価格や機器の選定に時間がかかり導入できないことが多々ありますので、発展途上国ではより大きな壁となって立ちはだかっているようです。

ベトナムとしては、センサー分野にて世界シェア40%を持つ日本の大手センサー企業の進出待ちといったところでしょうか。

シンガポールの情勢について

続いて、シンガポールですが、この国は世界一物価が高いと言われており、車を所持するだけで500万円くらいかかるので、富裕層しか車を持てないそうです。札幌市の南区より少し小さい程度の面積しかないので、こういった規制がないと町中が渋滞だらけになってしまいます。また、都心部に入るとETCで課金されるシステムとなっており、渋滞の緩和にはものすごい力を入れています。ちなみに10時30分以降はお酒を買うことができず、お店が閉まるのも早いなどかなり規制が厳しい国です。
ただ、戦争や震災が全くなく東南アジアでは最も安全性が高いため、世界各国から企業が集いさまざまなビジネスが進められています。日本企業はブランディングの一環として進出することも多く、シンガポール支社をステータスにして優秀な人材を集めているそうです。

シンガポール
(2017年11月時点のシンガポールの街並み)

シンガポールに各国のスタートアップ企業が集結「One-North」

One-Northはシンガポール政府が運営している世界各国のスタートアップ企業や開発者が集い、同じ空間で仕事・学習・娯楽を通して情報交換ができる場所です。大学のような雰囲気があり、南国で開放感がありました。
メルセデスベンツが提供しているスペースもあり各社でしのぎを削って自動運転に関する研究をおこなっており、敷地内で試験運転もしているようです。技術者にとってはすごく魅力的な施設ではありますが、数百社あるIT企業の中でも日本の企業は2社しかなく遅れをとってます。日本にはない新鮮な空間で施設の人が親切に対応してくれるので、シンガポール進出を検討されている方は是非オススメですが、日本語を話せる人はいないのでお気をつけください。

One-North
(One-North外観)

最後に

シンガポールにおいては、渋滞緩和施策やUberなど、交通インフラに関しては日本よりかなり先をいっており、インキュベーション施設にも力を入れているので、日本はこの先どんどん差をつけられてしまう気がします。
ベトナムでも国内のエンジニアがしっかり育ってきているので、今度ベトナムに行くときにはどんな街に変わっているのだろうと、毎回、変化を楽しめそうな国でした。

私自身、日本のIT企業の社員としてウカウカしてられないとモチベーションが上がる部分もありますが、海外をフィールドに仕事をしたことがなく、マーケットを小さく絞り込んでしまうクセがついてしまっていたので、若干ですが広い視野を持てた気がするのでとても良い視察となりました。ただ、英語が話せないせいで失敗してしまったことも多くありましたので、これから英語を勉強して来春くらいにはもう一度海外に行ければと考えております。

最後まで読んで頂いてありがとうございました!

参考:総務省 「主要10ヵ国・地域 企業競争力ランキング」